給与計算
Mar 12, 2023

給与計算の大前提:賃金支払い5原則と基本用語

給与計算は、労働基準法の第24条で定められた「賃金支払い5原則」に基づいて行われます。本記事では、この「賃金支払い5原則」について説明し、さらに残業や遅刻、早退に関する取り扱い、休業や休職に際しての対応にも触れていきます。

目次

給与計算の大前提「賃金支払い5原則」とは
・通貨払い
・直接払い
・全額払い
・毎月払い
・一定期日払い
労働時間と割増賃金
遅刻や早退の取り扱い
休暇や休業の種類
・有給休暇
・慶弔休暇
・産前産後休業
・育児休業
・介護休業
・休職
まとめ

給与計算の大前提である「賃金支払い5原則」
通貨払い

給与は通貨で支払うことが原則であり、小切手や現物での支払いは認められていません。ただし、法令で定められた場合や、労働組合との協約で定めた場合は、現物で支払うことができます。例えば、通勤手当の定期券を現物で支給する場合は、労使協定が必要です。また、金融機関への振り込みは、スタッフの承諾を得て本人の指定する口座に行うことができます。

直接払い

給与はスタッフに直接支払うことが原則です。金融機関への振り込みも、スタッフ本人の口座に行う必要があります。代理人への給与支払いは、本人の同意がある場合に限定されます。

全額払い

給与に関して全額を支払うことが原則となります。つまり、貸付金との相殺は認められていません。ただし、所得税や住民税、厚生年金、健康保険などの社会保険料は、法律で定められた控除を行った上で給与を支払うことができます。また、労働組合または労働者の過半数の代表者と書面で合意することで、社宅の費用や財形貯蓄を控除することもできます。

毎月払い

労働者への賃金は、毎月1回以上支払うことが法律で定められています。年棒制の場合でも、月額に換算して分割して支払う必要がありますが、毎週週給として支払うことも認められています。ただし、賞与や出勤成績に応じて支払われる精勤手当など、一定期間の臨時の賃金は毎月払いの対象外となります。

通勤手当についても、毎月支払われるものとされていますが、労働協約などによっては、3ヶ月や6ヶ月の定期券を実際に支給することも認められています。

一定期日払い

給与の支払いについては、毎月20日や25日などのように一定の期日に支払うことが法律で義務づけられています。ただし、「毎月第3何曜日」という支払い方は、月ごとに支払い日が最大で7日異なってしまうため、認められていません。また、支払日が休日にあたる場合は、支払い日の繰り上げや繰り下げが可能です。

労働時間と割増賃金

労働基準法第32条によると、1日8時間、1週間40時間を超える労働は禁止されています。この時間を法定労働時間と呼びます。一方、医院が定める労働時間は所定労働時間といい、法定労働時間内である必要があります。スタッフが所定労働時間を超えて働いた場合、残業代が発生しますが、法定労働時間を超えた分に対しては、2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

遅刻や早退の取り扱い

先述の5つの賃金支払い原則のうち、「全額払い」原則に基づき、労働者が遅刻や早退した場合、働いていない時間分の賃金を控除することができます。ただし、「ノーワーク・ノーペイ」原則に反することを防ぐために、就業規則で遅刻や早退の際の賃金の計算方法を明確に定める必要があります。遅刻や早退の時間に対してのみ賃金を控除することができ、例えば「遅刻3回で1日分の賃金を控除する」という規定は労働基準法に違反します。例えば、30分の遅刻を2回、2時間の遅刻を1回した場合、合計3時間の控除をすることはできません。ただし、遅刻や早退の行為に対して、減給の制裁を行うことは可能です。減給の上限は、1回につき1日分の平均賃金の半額であり、1回の賃金支払期の10分の1を超えない範囲で行われます。

休暇や休業の種類

給与計算に関連する休暇や休業について説明します。

有給休暇

正社員に限らず、パートタイムやアルバイトも、6ヶ月以上の勤務期間と全労働日数のうち8割以上の出勤があれば、有給休暇が与えられます。有給休暇を取得する際の賃金支払額については、就業規則などで規定する必要があります。一般的には通常勤務時と同額の支払いが行われ、平均賃金や健康保険の標準報酬日額を使用する場合は少ないです。

慶弔休暇

慶弔休暇は労働基準法で規定されていません。従業員の結婚や親族の死亡などに対応するため、医院が自主的に設定している休暇制度です。そのため、日数や対象者、有給か無給かなどは企業によって自由に決めることができますが、就業規則で明確に規定しておく必要があります。

産前産後休業

女性スタッフが出産する場合、出産予定日の6週間前から出産後の8週間までの期間は、産前産後休業の対象となります。また、産後6週間は、希望があっても働くことができません。産前・産後休業期間中の賃金は、法律で有給または無給のどちらでも良いとされていますが、就業規則で規定する必要があります。

産前・産後休業期間中は、健康保険から出産手当金が支給されます。支給額は、1日あたり標準報酬日額の3分の2となります。また、社会保険料(健康保険保険料や厚生年金保険料など)は、本人と事業主の両方が免除されます。

育児休業

育児休業は、基本的に子供が1歳になるまでの期間を対象としています。ただし、保育所に入所できない等の理由がある場合には、1歳6ヶ月まで延長することができます。

育児休業中に支払う賃金については、有給と無給のどちらにするかは、就業規則で定める必要があります。また、健康保険や厚生年金などの社会保険料については、本人と事業主の両方が免除されます。

介護休業

介護休業は、家族の介護が必要な場合に、最大で93日間の休業を3回に分けて取得することができる制度です。産前産後休業や育児休業と同様に、就業規則で無給、有給のいずれにするかを決めることができますが、社会保険料については免除されません。


休職

労働基準法には休職に関する明確な規定は存在しておらず、休職期間や給与の支払いの有無については、就業規則で規定する必要があります。休職期間中は、厚生年金保険や健康保険、住民税が発生しますが、無給の場合は控除できないため、徴収方法についても就業規則で明確に規定する必要があります。また、雇用保険や源泉所得税は無給の場合には徴収しないことになっています。

まとめ

給与計算の業務は、「賃金支払いの5原則」に基づいて正確に行わなければなりません。また、早退や遅刻、休業や休職時の賃金の扱いについては、就業規則で明確に規定する必要があります。従って、就業規則に該当する項目が適切に設けられているかを確認することが重要です。

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